ハエトリソウには、大きなものや真っ赤に色づくもの、変わった形の捕虫葉を持つものまであります。「これらは全部違う種類なの?」と気になる方もいるでしょう。
この記事では、ハエトリソウの種類と品種の違いから、B52や赤い竜など代表的な品種、初心者でも迷いにくい選び方まで分かりやすく紹介します。
- ハエトリソウは実際に何種類あるのか
- 「種類」と「品種」の違い
- B52や赤い竜など代表的な品種
- 大型・赤系・変わり葉の特徴
- 初心者が品種を選ぶときのポイント
それでは早速見ていきましょう。
ハエトリソウの種類は何種類?まず知っておきたい品種との違い
ハエトリソウには見た目の違う株がたくさんあるため、何十種類もの植物が存在するように感じますよね。しかし、植物としての「種」と、園芸で使われる「品種」は意味が異なります。代表品種を見る前に、まずはこの違いを知っておくと、ハエトリソウの奥深さがぐっと分かりやすくなります。

ハエトリソウって見た目が違うものが多いですが、全部別の種類なんですか?



ここを最初に整理しておくと、このあと登場する品種の違いも理解しやすくなります。まずは「種類」と「品種」の関係から見ていきましょう。
ハエトリソウは基本的に1属1種とされる植物
見た目の違うハエトリソウが数多く販売されているため、植物としても何十種類、何百種類と存在するように感じるかもしれません。
しかし、ハエトリソウ属として現在認められている種は、基本的に「Dionaea muscipula(ディオネア・マスシプラ)」の1種です。つまり、大きさや色、捕虫葉の形が違っていても、それぞれが別の植物種というわけではありません。
「ハエトリソウには1種類しかないの?」と少し意外に感じますよね。実は、ここからがハエトリソウのおもしろいところです。同じDionaea muscipulaから、見た目の異なるさまざまな園芸品種が生まれています。
ハエトリソウが1属1種とされることや、捕虫葉の詳しい形態については、自然科学研究機構・基礎生物学研究所の解説も参考になります。
一般に「種類」と呼ばれるものの多くは園芸品種や系統
園芸店やインターネットで「ハエトリソウの種類」と紹介されているものの多くは、厳密には園芸品種や選抜された系統です。
たとえば、捕虫葉が大きくなりやすい株、全体が赤く色づく株、捕虫葉の縁にある歯の形が普通とは違う株などがあります。特徴のある株が選抜・維持されてきたことで、現在では個性豊かなハエトリソウを楽しめるようになりました。
難しく考える必要はありません。「植物としては同じハエトリソウだけれど、見た目や特徴の違う園芸品種がたくさんある」と覚えておけば分かりやすいでしょう。
| 分け方 | 意味 | ハエトリソウの場合 |
|---|---|---|
| 種 | 植物分類上の基本的な単位 | Dionaea muscipula 1種 |
| 園芸品種 | 特徴のある株を選抜・維持したもの | Akai Ryu、Dentate Trapsなど |
| 系統 | 特定の株から受け継がれた特徴を持つもの | 大型・赤系・変わり葉などさまざま |
| 草姿の呼び方 | 葉の広がり方や立ち上がり方の違い | ロゼット型、エレクタ型など |
ロゼット型とエレクタ型は何が違う?草姿の特徴を比較
ハエトリソウについて調べていると、「ロゼット型」や「エレクタ型」という言葉を見かけることがあります。これらは品種名というより、葉の広がり方や立ち上がり方を表す呼び方です。
ロゼット型は葉を地面に近い位置へ広げるため、株全体が低く平たく見えやすいのが特徴。一方、エレクタ型は細長い葉柄が上へ伸び、捕虫葉も立ち上がったような姿になります。
ただし、ハエトリソウは季節によって葉姿が変化します。同じ株でも時期によって低く広がる葉を出したり、立ち上がった葉を展開したりするため、「必ずどちらか一方の形になる」と考えない方がよいでしょう。
ホームセンターのハエトリソウは品種名まで分かる?
ホームセンターでは「ハエトリソウ」「食虫植物」などの名前だけで販売され、詳しい品種名が書かれていない株もあります。
そのような株を見ただけで「これはB52」「これは○○という品種」と判断するのは難しいものです。捕虫葉の大きさや色は、品種だけでなく日当たり、季節、株の成熟度などによっても変わるためです。
品種名を重視して購入するなら、最初から品種名や由来が明記された株を選ぶ方が分かりやすいでしょう。一方、初めての1株なら、名前にこだわりすぎず、葉や株元の状態を確認して元気な株から育ててみるのもおすすめです。
品種が違っても基本的な育て方は大きく変わらない
B52や赤い竜などの名前が付いたハエトリソウを見ると、「品種ごとにまったく違う育て方が必要なのでは?」と思うかもしれません。
基本となる管理は共通しています。しっかり光に当て、用土を乾かしすぎないようにすることが大切です。また、肥料分を含む一般的な草花用培養土ではなく、ハエトリソウに適した用土を使いましょう。
もちろん、成長の勢いや発色、葉の形には品種や個体による違いがあります。ただ、珍しい品種だからと特別扱いするより、まずハエトリソウそのものに合った環境を整えることが基本です。
品種を選んだあとは、水やりや置き場所など基本的な育て方も押さえておきたいところ。


ハエトリソウの人気種類・品種を特徴別に見比べよう
ハエトリソウの園芸品種は、名前だけを並べても違いが分かりにくいものです。そこで、大きさ・色・歯・捕虫葉の形という見た目の特徴から整理すると、自分好みの株を見つけやすくなります。ここからは代表的な品種を中心に、一般的なハエトリソウとの違いを見ていきましょう。



名前がたくさんあって、どれがどう違うのか分からなくなってきました……。



品種名だけで覚えようとすると少し大変です。大きさや色、歯の形など、目で分かりやすい特徴ごとに比べてみましょう。
大きな捕虫葉が魅力のB52・Big Mouthなど大型品種
「ハエトリソウらしい迫力を楽しみたい」という方が気になりやすいのが大型タイプです。
なかでもB52は、大きな捕虫葉が魅力の代表的な園芸品種。大型のハエトリソウを探していると、よく名前を見かける品種のひとつです。
Big Mouthも、大きな捕虫葉を楽しみたい方が注目するタイプとして知られています。
ただし、大型品種を購入すれば何もしなくても巨大になるわけではありません。日当たり、水分、株の成熟度などによって実際のサイズは変わります。「大きくなりやすい特徴を持つ品種」と考え、まずは株を健康に育てることが大切ですよ。
大型品種だけでなく、一般的なハエトリソウがどのくらいの大きさになるのか知りたい方はこちらも参考にしてください。


大型品種を実際に育ててみたい方は、B52の苗を探してみるのもよいでしょう。通販なら品種名を確認しながら比較できます。
植物には個体差があるため、掲載写真とまったく同じ大きさや姿になるとは限りません。購入するときは「B52」と品種名が明記されているかも確認しておきたいところです。
ハエトリソウB52を探してみる
赤い竜やRed Piranhaなど赤く色づく品種
一般的によく見かけるハエトリソウは緑色を基本に、捕虫葉の内側が赤く色づく姿が特徴的です。一方、赤系品種の中には、葉柄から捕虫葉まで赤みが強く出るものがあります。
Red Piranhaも、赤色と特徴のある歯を楽しめる品種です。
ただし、赤系品種だからといって、いつでも同じ濃さに発色するわけではありません。光の当たり方や季節、株の状態によって見え方は変わります。写真と同じ色にならないからといって、すぐに別品種と判断しないようにしましょう。
Dentate TrapsやSawtoothなど歯の形が個性的な品種
ハエトリソウの捕虫葉を囲むトゲのような部分は、見た目を大きく左右します。一般的な株では細長い形ですが、園芸品種の中にはこの部分が大きく変化したものもあります。
Dentate Trapsは、一般的な細長い形とは違い、捕虫葉の縁に短い三角形状の歯が並ぶのが特徴です。Sawtoothでは、細かなノコギリの歯を思わせる独特な縁が見られます。
色や大きさだけでなく、この「歯」に注目して比べると品種選びがさらにおもしろくなります。同じハエトリソウでも、歯の形まで比べてみると印象がかなり変わりますよ。
| 品種・タイプ | 主な特徴 | 注目したい部分 |
|---|---|---|
| B52 | 大きな捕虫葉で知られる大型品種 | 捕虫葉の大きさ |
| Akai Ryu | 株全体が赤く色づきやすい | 葉柄から捕虫葉までの色 |
| Dentate Traps | 短い三角形状の歯 | 歯の形 |
| Sawtooth | 細かなノコギリ状に見える縁 | 捕虫葉の縁 |
| Fused Tooth | 歯の一部がつながったような形 | 歯の変化 |
| Cup Trap系 | 捕虫葉がカップ状に見える | 捕虫葉全体の形 |
Cup TrapやFused Toothなど姿の変化を楽しめる品種
少し変わったハエトリソウを育てたいなら、捕虫葉や歯そのものに特徴があるタイプにも注目です。
Cup Trap系では、通常は左右に開いて見える捕虫葉が、カップのような独特の形になります。一般的なハエトリソウを知っているほど、「これも同じハエトリソウなの?」と感じるかもしれません。
Fused Toothは、捕虫葉の縁にある歯の一部がつながったような形になるのが特徴です。
こうした品種は、虫を捕らえる姿だけでなく、植物そのものの形を観察したい方にもおもしろい選択肢でしょう。
Wacky Trapsなどコレクション性の高い珍しいハエトリソウ
園芸品種の世界をさらに見ていくと、一般的なハエトリソウの姿から大きく変化したものもあります。その代表例のひとつがWacky Trapsです。
捕虫葉が大きく変形した個性的な姿を持ち、一般的な株とはかなり違った雰囲気を楽しめます。このほかにも、捕虫葉や葉柄、歯の形に特徴を持つ品種があり、見比べながら集める楽しみがあるのもハエトリソウの魅力です。
ただし、変わった形をしているから優れた品種というわけではありません。珍しさだけで決めず、「大きさ」「色」「歯」「捕虫葉の形」のうち、どこに魅力を感じるのか考えて選んでみてください。
ハエトリソウの種類・品種選びで失敗しないためのポイント
品種を見ていると、大型、赤系、変わり葉など次々に気になる株が出てきます。ただ、初めて育てるなら「珍しいかどうか」だけで決める必要はありません。大切なのは、自分がどんな特徴を楽しみたいか。最後に、ハエトリソウを選ぶときに確認しておきたいポイントを整理します。



せっかくなら珍しい品種が欲しいのですが、初心者でも選んで大丈夫でしょうか?



珍しさだけで決めるより、大きさ・色・葉の形のどれを楽しみたいか考えると選びやすくなります。自分に合った1株を探してみましょう。
初心者ならまず一般的なハエトリソウから育ててみる
初めてハエトリソウを育てるなら、必ずしも名前の付いた珍しい品種を選ぶ必要はありません。ホームセンターや園芸店で見かける一般的な株から始める方法もあります。
大切なのは品種名より、葉や株元の状態を確認すること。まず1株を育てながら、水やりや日当たり、季節による葉の変化を知っていくと、ハエトリソウの管理方法をつかみやすくなります。
基本的な育て方に慣れてからB52や赤系、変わった捕虫葉を持つ品種へ広げていけば、一般的な株との違いも分かりやすくなりますよ。
「まずはハエトリソウを1株育ててみたい」という方は、品種名だけでなく株の状態や鉢の大きさなども比較して選んでみましょう。
▶ハエトリソウの苗を探す
ハエトリソウは一年を通して姿が変化します。とくに冬の休眠について不安がある方はこちらも確認してみてください。


迫力を楽しみたいなら大型品種を候補にする
ハエトリソウといえば、パカッと開いた捕虫葉。その迫力を楽しみたい方には、B52をはじめとした大型タイプが候補になります。
ただし、「大型品種なら必ず巨大になる」と考えるのは少し違います。大きな捕虫葉をつける特徴があっても、株がまだ小さかったり光が不足していたりすると、その品種らしい姿が十分に出ないことがあります。
購入時の捕虫葉の大きさだけを見るのではなく、品種の特徴と株の状態をあわせて確認しましょう。育て始めてからは大きさだけを求めず、まず健康な葉を増やしながら株を充実させることが大切です。
色を重視するなら赤系品種の発色条件も確認する
赤いハエトリソウにひかれて品種を選ぶなら、写真と同じ色がいつでも出るとは限らないことも知っておきましょう。
Akai Ryuなどの赤系品種は、その色合いが大きな魅力です。ただし、発色には光の強さや季節、株の状態などが関係します。同じ品種でも環境によって見え方が変わるため、「購入時より緑っぽくなったから別品種なのでは」とすぐに判断する必要はありません。
赤系を選ぶなら品種名だけでなく、十分な光を確保できる置き場所があるかも確認しておきたいところ。育てながら色の変化を観察するのも楽しみのひとつです。
珍しい形の品種は見た目だけでなく特徴も理解して選ぶ
Cup TrapやFused Tooth、Wacky Trapsなどを見ると、一般的なハエトリソウでは見られない姿に目を奪われます。コレクションとして楽しむなら、とても魅力的な選択肢です。
一方、「虫を捕らえるハエトリソウらしい姿を観察したい」という目的なら、その品種の特徴が自分のイメージと合っているか確認しておきましょう。捕虫葉や歯が大きく変化した品種では、一般的な株とは見た目や捕虫葉の動き方が異なる場合があります。
大きさを重視するのか、赤色にひかれるのか、それとも変わった葉の形を楽しみたいのか。自分なりの基準をひとつ決めておくと選びやすくなります。
| 楽しみたいポイント | 選び方の方向性 | 候補例 |
|---|---|---|
| 初めて育てたい | 品種名より株の状態を優先 | 一般的なハエトリソウ |
| 大きな捕虫葉を楽しみたい | 大型タイプを選ぶ | B52など |
| 赤い色を楽しみたい | 赤系品種を選ぶ | Akai Ryuなど |
| 歯の形を楽しみたい | 捕虫葉の縁に特徴のある品種 | Dentate Traps、Sawtoothなど |
| 珍しい姿を楽しみたい | 捕虫葉が変化するタイプ | Cup Trap系など |
| 品種名を重視したい | 品種名や由来が明記された株を選ぶ | 品種表示のある株 |
種から育てた株と園芸品種は同じとは限らない
ハエトリソウは種から育てることもできますが、園芸品種を楽しむうえで覚えておきたいポイントがあります。
たとえば、名前の付いた園芸品種から種を採り、その種を育てても親株とまったく同じ特徴になるとは限りません。有性生殖では遺伝的な組み合わせが変わるため、色や捕虫葉の形、大きさなどに違いが現れる可能性があります。
特定の園芸品種と同じ特徴を維持して増やす場合は、株分けなどによる栄養繁殖が基本になります。
一方、種から育てる場合には「どんな姿の株になるのだろう」と成長を見守る別の楽しさがあります。同じ品種を増やしたいのか、それとも種からどんな株が育つか楽しみたいのか。この2つを分けて考えると分かりやすいですよ。
ハエトリソウを種から育ててみたい方は、種の採取や種まきについてこちらで詳しく紹介しています。


まとめ|ハエトリソウの種類と品種を徹底解説
ハエトリソウは見た目の違う株が多いため、「何種類あるの?」と迷いやすい植物です。植物分類上の種類と園芸品種の違いを知っておけば、大型・赤系・変わり葉など、自分好みのハエトリソウを選びやすくなります。
- ハエトリソウは基本的にDionaea muscipulaの1種
- 一般に「種類」と呼ばれるものの多くは園芸品種や系統
- ロゼット型とエレクタ型は草姿を表す呼び方
- ホームセンター株はラベルがなければ品種名を断定しにくい
- B52は大型の捕虫葉で知られる代表的な園芸品種
- Akai RyuやRed Piranhaは赤系の代表的な品種
- Dentate TrapsやSawtoothは捕虫葉の歯に特徴
- Cup TrapやFused Toothは独特な形を楽しめるタイプ
- 品種が違っても基本となる栽培管理には共通点が多い
- 種から育てた株が親品種とまったく同じ特徴になるとは限らない
最初から珍しい品種だけを追いかける必要はありません。まずは「大きさ」「色」「捕虫葉の形」など、自分が楽しみたいポイントをひとつ決めてみてください。そこから選ぶと、長く育てたくなるお気に入りの1株を見つけやすくなります。










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